VOL.7 勝呂竜士役・中井和哉 & ルーイン・ライト(ライトニング)役・関 智一
オフィシャルインタビュー
TEXT=鈴木 杏(ツヅリア)
志摩への怒りも、勝呂は自らの反省にすぐ繋げてしまう人だから
――おふたりでのインタビューはもちろん、関さんは『青エク』でのインタビュー自体が今回初めてということで、2024年より新たに動き出したTVアニメ『青の祓魔師』の魅力をたくさん伺っていければと思います。まずは今年1月より放送された『島根啓明結社篇』を振り返って、出雲の過去が明かされた物語に、中井さんはどんな感想を抱かれましたか?
出雲のことを考えると、本当に辛いお話でした。ただこのエピソードがあったことで、普通のツンデレだったらどんどんデレていっても良いところを、出雲は踏み止まりとても頑なだったことに、すごく納得がいったんです。彼女のバックボーンを僕らも重く受け止めましたし、だからこそ最終的に「あいつらが好きだったんだ」と出雲が帰ってきてくれたことが、ものすごく嬉しかったです。
――同時に、志摩が正十字騎士團とイルミナティの二重スパイだったことも発覚します。
実はこれまで「志摩はどう考えているんだろう?」というのを、あまり気にしていなかったんですよね。だから意表を突かれたあの展開は、びっくり度がかなり大きかったです。勝呂自身も衝撃を受けていましたが、彼が志摩に抱く怒りって、イコール気付かなかった自分への反省で。彼はすぐそういう方向に考えてしまう人なので。納得なんてもちろんできるわけがないんですけど、自分には志摩を怒る資格がない、と思ってしまっているところも、相変わらず面倒臭い人だなと(笑)。でも勝呂は、そう考えるしかないんだろうなとも思いました。僕は彼のように、小さい頃からずっと自分に厳しく真面目に生きてきた人のことはよく分かりませんけども、ああいう性格の人がこういった事態に直面すると、ああいった物の考え方になるのかなと感じました。
――ライトニングはこのシリーズから満を持して、アニメに本格登場となりました。まず関さんが本作に参加されての感想は?
そもそもライトニングは、アニメに先んじてゲームの登場キャラクターとしてオーディションで決まった役だったんですよ。それで今回のアニメシリーズは、ライトニングも登場する物語だとSNSなどで見聞きしたものの、僕が続投できるのかは当初分かっていなかったんです。だから改めて演じられることになって良かったな!という気持ちが、まず最初にありました。ただ当時のゲームでは音響監督さんが違う方だったので、若林(和弘)さんが思い描くライトニングと自分がマッチするんだろうか?という不安もありました。加えて謎めいた役ということもあり、制作側の方々もさまざまな想いやこだわりをお持ちで、最初の収録はこってりやられたな!という出発でした(笑)。ですが自分としても、以前ライトニングを演じてからは時間が経っていましたし、今回どう演じたらいいんだろう?とふわふわした気持ちだったんです。なのでディレクションをいただきながら、細かな調整を重ねて試行錯誤していくことで、自分のエンジンも徐々にかかっていく感覚があって、逆にありがたかったです。
ライトニングを演じるなら“知りすぎていない”ほうが良い
――関さんは『青エク』という作品には、どんな魅力を感じていますか?
新参者が語るのも恐縮ですが、ライトニングは竜士と居る場面が多いので、僕は今のところそこにフィーチャーして物語を見ています。一気に謎めいたところに立ち向かうよりも、師弟で何かを調べていく話と捉えておいたほうが、焦点が合いやすかったんです。本当はもっと多くのことがあるのだとは思いつつ、まだ僕自身すべてを把握しきれていないから、ここふたりの話と捉えておいたほうが、より『青エク』に入りやすくて。それに僕の場合、かえって多くを分かっていないほうが、良いんだろうなとも思いました。というのも、不勉強に感じさせてしまったら申し訳ないのですが、ライトニングという役は演じるうえでいろいろと知りすぎていると、逆に嫌らしさが滲み出たり、何か隠している含みとか余計なものまで、無意識下でも出してしまう気がして。それよりは何も知らないまま演じるほうが、知らんぷりしている感じがうまく出るのかなと考えています。
ライトニングって、本当に関さんっぽい気がします(笑)。どこまで分かっているんだろう? いや、逆に分かっていないのか……!?というところに、すごく深みを感じます。
あはははは! “いい加減”じゃなく“良い加減”でね。ライトニング本人も上手に隠している人だと思うので、こういう演じ方が良いのかなと。後々物語が進んだときに、改めて答え合わせができれば良いかなと考えています。
まさに『青エク』は物語の構造として、それが全部上手くいっている作品というか。『京都不浄王篇』の勝呂も、『島根啓明結社篇』の出雲も、この人にはこういう過去があったんですと描かれることで、「なるほどな、だからこう振る舞っていたのか!」と、スッとパズルが合っていくので。きっとライトニングにも、この先そういう瞬間が来るんじゃないかなと思っています。
――お話に挙がったように『雪ノ果篇』で勝呂がライトニングに弟子入りして以降、ふたりが行動を共にするシーンが増えていきます。ちなみにおふたりは、これまでコンビ役を演じられたことはあるのでしょうか?
あったような気も……?(笑)
そうですね、何かあったような気もしますけど、どうだったかな!?(笑)
ドラマCDや単発作品ではあったかもしれませんが、『青エク』のように長い物語ではなかったと思います。それに一時期、自分と中井くんのよく演じる役が競合していて、同じ番組に出ることがあまりなかったんです。例えばニヒルな役は、一作にふたりもいらないじゃないですか?
優しい言い方をしてくれていますけど、要はオーディションに受かっていらっしゃる側と、落ちた側ということです(笑)。
いやいや、もちろん逆もいっぱいありましたよ! それにこれは中井くんだけでなく、メインどころでキャスティングされる方とは、意外とご一緒する機会が少ないというか。でもちょうど今、他の作品でも戦っていたり、最近縁が深くて、今後の共演がますます楽しみになっています。いや、良い間柄ですよね? このふたり!
はい、そう思います(笑)。
ライトニングの言葉が響いた、ロマンチストな勝呂が可愛い
――それでは中井さん演じる勝呂の魅力や人柄を教えてください。
単純に良いヤツですよね。僕はここに至るまでの勝呂竜士が、どういうことをしてきたか詳しく知らないので、僕が会ったときにはもう良いヤツ!という印象です。
嬉しい。勝呂の過程を知らないうえで、彼のことを良いヤツと思ってもらえるのって、僕としてはすごく嬉しいです。
非常に真面目だし、家族想いだし、面倒見もいいし。僕は劇団で後輩と絡むこともよくあるのですが、勝呂みたいな子が後輩だったら可愛いだろうなと思いました。それに言うべきことも、言ってくれるじゃないですか。でも適した距離感もちゃんと保ち続けてくれるから、良いなと。
本当に彼はずっと変わらずまっすぐです。真面目で背負いすぎてしまうところもありますけど、自分のやるべきことはしっかりやらねばと、ちゃんとそれをやり続けてきている子なので。健気だなといつも見ていますし、本当に良い人だと思います。
――次に、関さん演じるライトニングはいかがでしょう?
まず“チート感”がありますよね。原作の加藤和恵先生は、本当にキャラクター作りがお上手だなと感じます。
ライトニングはスゴいですよ。勝呂を演じていると、長尺の詠唱をビシッと決めていてカッコいい!とか、よく言われるんですけど。でもそれよりも「以下省略!」でパッと召喚できちゃうほうが、結果的にカッコいい!って思うんです(笑)。だから勝呂がライトニングを見て、「うわあ!」って心を掴まれるのも、そりゃそうだよなって。
確かにカッコいいよね。カロリーも使わないし。でもそんなライトニングに弟子入りしたっていうことは、竜士もいずれああなるっていうことですよね?
目指すべきはそういう形なんですかね?
最初にライトニングが「知りたい事はぼくから勝手に盗め」と言っていたし、その通り師匠から盗んでいくんじゃないですか? 実際勝呂がああなったら、カッコいいですよね。長々詠唱していたのを、ある日突然「以下省略!」と言い出したら、こっちもおっ!と思いますし。記憶力も良くて優秀ですから、あっという間に師匠を超えてしまうかもしれません。結局いつの間にか、ライトニングの魅力というか、勝呂の魅力の話になっちゃった(笑)。
僕、言おうとしてたのに!(笑)
(笑)。
勝呂としては、講義を聞いたときからスゴい人だと目の当たりにしていて。そのなかで決め手となったのが、「ぼくに壮大な夢や野望はない」「強いて言えば、この世界が好きだ。それだけなんだよ」という話だったんだろうなと。あれがドン!と響いたところが、ロマンチストな勝呂くんらしいですし(笑)、あれで土下座する気になっちゃうのも可愛いです。
うん、すごく可愛い。例えば「Aだと思っていたけど、心に響いたのでBに切り替えます!」というバイタリティって、成功する人が持っているものですよね。ただ悩むだけじゃなくて、状況に応じて良いなと思ったものに飛び付けるし、どんどん変わっていける勝呂は、将来大成功すると思いますよ。変なこだわりを持たずに柔軟性があって、良いものは良いと思ったんだ!という心持ちを感じます。
“お姫様”と言われる勝呂が“マネージャー”をこなせる理由
――関さんご自身も講師をされるなど、指導者側にも立たれていますが、ライトニングの師匠ぶりはどうご覧になっていますか?
彼は物事に精通しているから良いですよね。第1話で悪魔骨牌(あくまカルタ)に苦戦する勝呂に、あーだこーだ言って、ピンチになったら「こうすればいいんだよ、なんでそんなことも分からないの? 」とあっさり解決してみせる一幕もありましたけど、僕はそうじゃないので。多少気付いて教えられることはあるかもしれないけれど、僕自身が教わることも多いですし。だからああいうチート感には憧れます。それに好きなもの以外には、別に興味がなさそうな感じも良いですよね。同性により支持されやすいキャラクターかなと。野放図だけどやることはやれるって、一番カッコいいじゃないですか。
真面目な勝呂くんとしては、師匠として本当に尊敬できる部分がありつつ、これはいくらなんでも……という部分は一つひとつ教育もしつつで。多少綺麗にしましょうとか、ちゃんと寝ましょう、食べましょうと言うのも、別に言われたからやっているのではなく、そうしなければ側にいるのが勝呂にとってストレスに感じる部分なんだろうな……というのは、僕も分かる気がしました。
――勝呂がマネージャー的に働くことを、志摩や子猫丸が嫌がっている様子も見られました。
勝呂は収録現場でよく“お姫様”と言われていて、僕は「いや、姫ちゃうわ!」と思っているのですが(笑)。志摩なんかはそんなふうに扱い自分たちが持ち上げてきた大将が、マネージャー的に働いているとなったら、やはり複雑だろうと思います。でも僕としては、勝呂の本質はこっちかなという感じがするんです。いろんなことに気が回るし、細かなところまで整理整頓したくなるタイプだから、決して無理しているわけではなくて。ライトニングの弟子となって側にいる人間として、普通の対応をしている気がします。
それに勝呂には、ライトニングへのリスペクトがあるからじゃないですか? 昔お芝居をしている人に言われたことがあるんですよ。「先輩が部屋を出るときに扉を開けてあげたり、お茶を出したりすると、おべっかを使っているように見えるかもしれない。でも先輩の芝居を観させてもらって、教えてもらっているんだから、そこに感謝の気持ちがあれば、自然とやってあげたくならないか?」と。それを聞いて、なるほどなと思ったんです。そう考えると、勝呂はライトニングにリスペクトや感謝の気持ちをちゃんと持っているから、自然とああいうサポートができちゃうんじゃないかなと感じました。
――第6話では、勝呂が志摩のことを「俺はアイツの不利になる事には協力しませんよ!」と家族として庇ったり、その後勝呂に隠れて接触してきた志摩がライトニングを「ウチの坊、純粋培養のクソ真面目やさかい、あんま揶揄わんといてもらえますか?」と牽制したりする様子が描かれていました。
大人になるにつれ、いろんな事情や誘惑が出てきて、すれ違うこともあるじゃないですか。そういうのを超えて、今でも志摩が勝呂のことをちゃんと気にしてくれているのであれば、それは嬉しいなと思いますし、あそこはその表れであったら良いなと思いました。志摩がスパイになったことについて、いろんなことが面倒臭くなったというなかには、結局勝呂も入っているとは思うんです。でもそれすら超えたところに、彼らの繋がりがあってほしいと思っています。
――ライトニングはそんな彼らを、「きみたち、本当に仲がいいんだなあ……!」と返していました。
ライトニングの家庭環境って、やはり不思議そうじゃないですか。だから合っているのか分かりませんけど、家族と言う彼らに、憧れの気持ちみたいなものもあったりするのかな?と、漠然と思いました。それに今までのことを手掛かりに考えると、家族の繋がりを持つ志摩くんは、二重スパイとはいえども、ある程度信用できると見ているのかな?などと想像しています。
本当に不思議な人だなと思います、志摩って。掴めないなと思うけれど、どうあってもやっぱりこっちは嫌いになれないんです。勝呂の立場としても、一視聴者の立場としても、やっぱりこの人好きだなと思ってしまいますね。
ライトニングの素直な一面を縁(よすが)にして
――第7話でふたりは奥村兄弟が育った修道院に足を運び、そこでライトニングが結果的に修道士の三角を死に追いやってしまう一幕がありました。
全然殺そうとするつもりはなかったです! 彼が呪われていて、勝手に死んじゃっただけで。
ひどい!
――勝呂は「非情なやり方が目立つ」と感じていましたが、ライトニングの行動や思考、価値観を、どのように捉えましたか?
語るのが難しいところですよね。勝呂が「俺がブレーキになります!!」と言っていたように、まさにあの場面でも「アカン、これ以上は……人ですよ!!」と止めていて。ただその後のシーンもそうですが、時々ライトニングって、素直に「ありがとう」と言ってくれるんですよ。だから生真面目な勝呂くんとしては、そこを縁(よすが)にして、ブレーキ役ができそうなときはそう動きながら、ライトニングという人間を自分の中に落とし込んでいくしかないんじゃないかな……という印象が強いです。
勝呂はライトニングのバックボーンも想像してくれてそうだもんね。こうなってしまうまでの何か深いものが、彼の裏にはあるのかもしれないと考えてくれていそうです。
うんうん、そうなんですよ。本当だったら勝呂はライトニングの所業とか、絶対に許せない人だと思うんです。
――ほかに第7話までで特に印象に残っているシーンやセリフは?
アニメにはありませんでしたが、原作ではふたりで調査に出るところで、探偵モノのパロディ演出が入るんですよね。ちょうどその頃自分が舞台で探偵モノの作品をやっていたので、すごく親近感が湧きました。特に昔の名探偵モノって、探偵側が犯罪や犯罪卿に狂気的な興味を持っていることが多いので、アサイラムを調査しながらどこか狂気を漂わせているライトニングも、昔の名探偵たちに近いものがあるのかなと。一歩間違えたら自分も犯罪者……みたいな雰囲気というか。
ライトニングが解明していくことって、『青エク』の世界の構造というか、深い部分に繋がるところじゃないですか。勝呂が読者の立ち位置で「そうだったんだ!」と謎が解明され、全部が新しい知識になっていくぶん、ふたりの会話のすべてが面白いんですよね。そんな大事なときにもちょくちょくボケが挟まるので、そのたびこちらはツッコまなければいけないんですけど(笑)。
(笑)。
そういうのもあって、僕は関さんのセリフがダーッ!とあるところは大抵好きです。今日はこんな新しいことが知れる!と、毎回楽しいんです。
収録の合間、神谷くんとこれまでの人生を語り合いました
――ライトニングは、メフィストと火花を散らすシーンもたびたび出てきますね。
彼も良い人なのか悪い人なのか、不思議な立ち位置ですよね。みんなを導き育ててきた後見人的存在でありながら、敵対する側と通じているんじゃないか?と疑われたりもしていて。だから僕も、なんだか怪しいやつだなと今は思っています。後は、メフィストは演じる神谷(浩史)くん本人だと思っています(笑)。
あはははは! 面白い、それはどういうことですか!?
収録ブースを分けて録っているときに、僕と神谷くんが二人部屋になったんですよ。神谷くんとはデビュー時期が近くて、そこそこ話はするものの、長い間会えていなかったんです。だから今回本当に久しぶりにふたりきりになって、収録の合間、お互いどんな人生を歩んできたか……みたいな話をしていました。
おもろ!
「良いこともあったし、こういう悩みもあったんだよね」と、他愛もない世間話をいっぱいできて、良かったなという気持ちと。メフィストもたくさん喋るし、ライトニングもたくさん喋るから、お互い大変な役だけど一緒に頑張ろうね!みたいな気持ちが混ざって、メフィストが神谷くんにダブって見える……みたいな(笑)。
――ちなみに中井さんはメフィストを良い人か悪い人か、どう捉えていますか?
メフィストは……神谷さんですね!
あはははは!
(笑)。まあ、メフィストは良い人だとは思います。それは本当か?と思うことはありますけど。
ああいう海外のジョークみたいな、エスプリのきいたことを、神谷くんも言うじゃないですか。ブラックジョーク的な発言もしつつ、でも悪意はなくて。そういうところは似た雰囲気があるかもしれないです(笑)。
何かひどいこと言った気がするんだけど、笑ってるなこの人……?みたいな(笑)。
勝呂とライトニングとメフィストって、うまいバランスで三すくみになっていますよね。ライトニングはメフィストに強く行けるけど、勝呂は行けない。でも勝呂はライトニングには強く行ける。その構図も面白いです。
奥村兄弟に感じた男兄弟らしいコンプレックス
――勝呂と祓魔塾生のやりとりというところで、中井さんが特に印象に残っている場面は?
『島根啓明結社篇』の話になってしまうのですが、子猫丸から「ワンパターンです」と言われたところは、「おおお……そう思っていたのか……」とけっこう面白かったです。というか、あれを言われて、僕がグサッと来ていました。戦闘になると、割合勝呂はこういう戦いをしがちだなーとは思っていたのですが、そこを指摘するんだ子猫丸!と。ちゃんと気付いて伝えられる子猫さんと、なるほどとその指摘に納得できる勝呂の良いシーンでした。
――奥村兄弟としては、『雪ノ果篇』でも依然として溝がある状態です。
僕はちょっと、雪男の気持ちが分かってしまうというか。彼らの場合、ものすごくスケールの大きな話だし、通常の人間ではないのですが、「自分のほうがちゃんとしているはずなのに」みたいな、いわゆる男兄弟の片方が持ちがちなコンプレックスが、しっかり投影されていると思うんですよね。それがリアルで嫌だな……と。ちゃんとやっている人が超えられない壁みたいなものは、分かる部分があります。
――勝呂は今回、奥村兄弟の生い立ちを一早く知っていく立場でした。ふたりが過酷な運命にあることも察していましたが、中井さんご自身は奥村兄弟にどんな想いを抱かれていますか?
個人的に『青エク』って、明るいエピソードはめちゃくちゃ明るい反面、基本的には重く辛い話が続く世界で、でもそんななかにこれが光なんだな、救いなんだな、今に繋がっているんだな……と感じられる部分が、チョロッと出てくるところが好きなんです。言っても主人公とその弟ですから、今後も辛い気持ちにはなるでしょうけど、やっぱりこの物語に触れられて良かったと思えるものは、必ず残ると思っています。だからこの先の『終夜篇』で、ふたりの両親の話を観られることが、今からめちゃくちゃ楽しみです。
潤くんは中井和哉の扱い方を熟知してくれている人です
――実はひとつ前のインタビューで、しえみ役・花澤香菜さん、出雲役・喜多村英梨さんにお話を伺ったときに、ちょうど関さんが今日着ていらっしゃる“ミョウガTシャツ”のエピソードを教えていただきました(笑)。現場で何柄なのか盛り上がったと。
山菜の柄が入ったTシャツを愛用しているのですが、何が描かれているのかみんな気になるみたいで(笑)。着ていくと話題にしてくれるんですよ。
(笑)。
――関さんは今回本格的にチーム『青エク』に加わられて、収録現場の雰囲気をどう感じていますか?
『青エク』の現場は、自分がよくご一緒してきた人たちが集まっているので、変な緊張感もなく、不思議と既に知っているアフレコ現場に来た感覚を覚えました。最近は現場によっては自分がキャリア的に上で、周りは若手のあまり会ったことがない方ばかり、ということもあるので。新参者の印象としては、なかでも雪男役の福山潤くんが良く喋っていたかな。現場を元気付けて、良いムードにしてくれていました。
そうですね。僕はどこに行ってもあまり自分から進んで喋れないタイプなんですけど、『青エク』ではみんながちょっかいをかけてくれるので、いつも嬉しいんです。潤くんは中井和哉の扱い方を熟知してくれている人。「一見不機嫌そうだけど、別にこの人イジられるのは嫌いじゃないみたいだぞ!?」と理解して、からかってきてくれるので、ありがたいなと思っています。
後は志摩役の遊佐(浩二)さんも、同じくたくさん喋っていて、雰囲気を明るくしてくれる人でした。
――第1作目が始まった13年前を振り返って、何か思い出はありますか?
逆に覚えていないことがすっごく多いと思います。というのも、それだけ当時は自分の視野が狭かったんだろうなと。過去作のDVDパッケージを観返してみたりすると、「この方も『青エク』に出演されていたっけ!?」と思うことがあるんですよ。それに比べて、今はぼんやりしながらも、いろんなところを見ながらお仕事ができていると思います。
――最後にファンの皆様へメッセージをお願いします!
勝呂の出番自体はここから少なくなっていきますが、観続けてくださっている方にとっては、「そうだったのか!」が連続するお話になっていくと思います。長年の疑問が解決する一方で、この先が不安になってしまうこともあるかもしれません。でもとにかく見逃せない話が続いていきますので、ぜひ引き続きご覧ください。
ライトニングは竜士と一緒に、謎の解明に向かって一生懸命頑張っておりますので、このまますんなり謎が解けたら良いなと思っています。彼らに何事もないことを祈っています! また、僕もライトニングを演じたからには、彼の過去をいつかアニメでも観てみたいです。そのためにも、みなさん今後ともどうぞご声援をよろしくお願いいたします!