VOL.2 奥村 燐役・岡本信彦 & 三輪子猫丸役・梶 裕貴
オフィシャルインタビュー
TEXT=えびさわなち
『島根啓明結社篇』でますます子猫丸のことが好きになりました
――まずは今年1月より放送された『島根啓明結社篇』のお話から伺えればと思います。出雲と志摩の救出を、と島根に乗り込んだ祓魔塾の面々でしたが、そこで燐にとっては一つ大きな壁となる「対悪魔」ではない「対人間」との戦いが描かれました。それぞれの戦い、そして葛藤のあるエピソードとなりましたが、彼らの戸惑いも含めて演じられたおふたりにとって印象的だった場面を教えてください。
『島根啓明結社篇』自体が出雲の話、という印象が強いです。親子の話でもあって。セリフを聞いていて一番ジーンときたのが、出雲のお母さん(玉雲)が「玉ちゃんの宝物」って言うシーンです。本当に悲しくて、切なくて……。しかもハッピーエンドとも言えない、出雲にとっては苦しい話だったかなということが印象に残っています。最初の1、2、3話は学園祭のエピソ-ドで、福山さんの言葉を借りるなら“明るく楽しい青エク”をやっていたんですけれども、そこからの振り幅と言いますか。お母さんが最後に自分を守って死ぬシーンでの言葉が僕にとってはパワーワードでした。“宝物”って。最後まで出雲を守って、最後の最後に出てくる言葉がそれだった、というところにすごくジーンとしちゃって。そのあと月雲と再会した出雲も可哀想だったんです。孤独を感じてしまうようなエピソードが多くて、出雲目線で見てしまう『島根啓明結社篇』だったなと思います。最終的にはしえみや燐たち仲間がいるよ、というところに落ち着くのですが、感情の流れとしては喜多村さんも大変だったのではないかなと思います。身を削りながら叫んだり、削りながら泣いたりと芝居をしていた印象があります。
神木家に関しては今、岡本くんが全てをお話してくれたと思うので、それに尽きるなという思いです。これまで出雲がなぜ他者を寄せ付けず、距離を置いていたのかという理由が明らかになって。誰しもきっと、バックボーンが判明することでより感情移入できて、そのキャラクターのことが愛しく、尊くなったりするわけですが…それにしても出雲のドラマに関しては、家族の話がこれまでにないくらい生々しく描写されていて、胸がしめつけられるような感覚でしたね。加えて今シリーズでは、志摩さんのドラマも描かれて。そこには勝呂と子猫丸との関係性というか…京都3人組の切っても切り離せない縁を感じました。志摩さんに関しても、自分が背負った役割があったからこそ、これまで「尻尾を掴ませない、掴みどころのない」様子だったんだなというのが判明して。結果、みんながみんな、簡単には言い表せられないような重たいものを抱えていたわけですけれど…ようやくそれを打ち明けることができて、本当の意味で“仲間”になれたシリーズだったのだろうなと思います。個人的には『島根啓明結社篇』序盤の、子猫丸が「参謀になる」と決断するドラマが、やはり印象的です。彼の内面の変化や成長を丁寧に描いてくださった、大好きなエピソードですね。「みんなの役に立ちたいけれど、非力な自分に何が出来るのだろう」というコンプレックスがあったなかで、自ら一歩踏み出した大切な瞬間。でも本当のところは、みんな口に出していなかっただけで、もともと子猫丸のことをすごく評価してくれていて。もう自分のことのように嬉しかったですね。自分としては、このエピソードを経たことで、今まで以上に子猫丸が演じやすくなったような感覚があります。ますます彼のことが好きになりましたし、より深く理解することができたな、というエピソードでした。
――『京都不浄王篇』から7年ぶりの放送となる「青の祓魔師」です。収録スタートした時期を考えると8年くらいのスパンがあったかと思いますが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
めちゃくちゃ時間があいているよね。本当に久しぶりだったもん。
7、8年ぶりって、そんなに経ってるんだ⁉って話をしたよね。そこまで経っている感覚もなかったんですけど、実際にちゃんと考えてみるとなかなかな時間でした。こうした息の長い作品であることも嬉しいですけど、まさかの8年…。
――久しぶりに演じる際にはチューニングなど必要なのでしょうか?
僕は大変でした。
え、そうなんだ?
(自分が演じる燐の)頭がよくなってないか?っていうディレクションがあったんです。そんなつもりはなくて、最初のシーズンを聞き返したりいろんなことをしてみたりしていたんですけど……。
自分としては、聞き返すことでどう感じたの?
当時は一生懸命叫んでいるっていう印象が強くあったんだけど、それを踏襲しようとすると今度は芝居というより音当てになってしまうので……結構、難しいなって思いました。 また、考えすぎない“表面上の感覚”もむしろ良かったようにも思うんです。
燐っぽいと言えばそうだもんね。
彼からぽろっと出た言葉が、ほかのキャラクターや視聴者にスマッシュヒットする感じなのかなとは思っています。そんな天然感を頭でやろうとすると難しい、という感じでした。
なるほどね。なんか、わかります。自分に関しては、キャラクター性や音についてのチューニングで困ったことは特になかったんですけど。子猫丸役としては、相も変わらず京都弁のハードルが高くて(笑)。今回も方言指導の方がマンツーマンで付いてくださっていました。感謝です。事前にサンプルをいただいて自主練をして、現場に行って実際にやってみて、もしも違うところがあれば修正をする、という感じでアフレコを進めていくのですが…さっきお話をしたように『島根啓明結社篇』の冒頭では、難しいセリフが非常に多かったんですよね。参謀として覚醒していくドラマということもあって、言葉での指示が中心で。標準語で話すのも難しいような言い回しがたくさん使われていた気がします(笑)。そんな堅めの文章だらけだったので、どうやら京都出身の方言指導の方でも正解が難しいニュアンスがあったらしく、毎回混乱されていました(笑)。なので、とにかくその場その場で挑んでいくという感じでしたね。
等身大の燐・子猫丸を
――そして『雪ノ果篇』が始まりました。1話でライトニングの弟子となった勝呂竜士に対して思うところのある様子の燐と子猫丸です。おふたりは師匠に振り回される勝呂に対してどのような印象を受けましたか?
これまであまり勝呂がうろたえている様子を見ていなかったからこそ、新鮮だな、と思いました。ただ、よくよく考えれば結構いつもツッコミを入れてくれる優しい人というイメージもあったので、そこまで解釈の不一致ということはなかったです。それよりも髪型が!キャラデザが変わった方が僕はびっくりしました。本誌を読んでいたときから。
新鮮という話題でいうと、これまでにも勝呂が振り回される描写は確かにありましたが、どちらかというと、その先、彼が誰かに食らいついていくというか、教えを乞う姿が意外でしたね。明確な信念があって生きている人だから、その彼が頭を下げてでも学びたいと躍起になっている姿に、キャラクターたちも僕らも「勝呂はまだまだ成長する男なんだな」と感じました。
僕としては、ライトニングも「どんな人なんだろう」という印象が強かったです。一見、見た目も強そうに見えない。原作を読んでいる人たちからしたら「ただものではない」ということは知っているけれど、あの場にいる燐たちからしてみれば「なんだろう、この汚い人は」という感覚でしょうし、そこがミステリアスでカッコいいところはありました。
多くの人が、見た目含めて「きちっとした人」を先生に選びそうなところを、勝呂は、その僅かなやり取りの中で、ライトニングのすごさを見抜いたということですよね。もちろんライトニングは実際にすごい人ですけれど、そのアンバランスさが「これからどうなっちゃうんだろう? でも、間違いなく面白くなっていくんだろうな!」という確信に繋がっていく、というか。
――「ぽんちゃん」で勉強をしていた燐、子猫丸、志摩の3人の会話の中で、システム開発の勉強をしている、と話す子猫丸ですが、初期から子猫丸を見てきたおふたりにとって、そうした彼の成長はどのように映りますか?
そこへの違和感はなかったですね。それこそ、先ほどもお話した「参謀へと成長していく」という部分もそうですが、もともと分析に長けている人間性は持ち合わせていたでしょうし、何事もまじめにコツコツと積み重ねていけるのが子猫丸の素敵なところだと思うので、むしろ自然な流れだったのかなと感じています。燐も言っていましたが、「そのシステムさえあれば修業をしなくてもよくなる」、つまりは「力のない人が、戦わずとも対処できる方法」が今後生まれてくる可能性もあるということなのかなと。だとしたら、それは素晴らしすぎる発明ですよね。燐たちのいる世界の祓魔師のイメージは、どことなく古風な印象が強いですが、こうした最新技術や文化もちゃんと発展していて、今後はまた違った角度からの強さを彼らが身に着けていってくれるのかなと思うと、演じている自分としてもワクワクします。「もっとメカニックを駆使した戦い方になっていくのかな」なんて期待しちゃいますよね。
子猫丸の印象って、最初はひ弱な人なのかなと思っていたのですが、そこからどんどん変わっていっています。『京都不浄王篇』で燐に対して直接「危害を加えるなら敵だ」って言うのですが、それは勇気がいることだと思うんです。意外とポジションを意識していた人でもあるのかなとも思っていますし、俯瞰で物事を見ている人でもあります。特に「脇役」「主人公」という言葉を使っているエピソードが印象的で。自分に出来る適材適所を考えている人なのかなと思えば、今回のシステム開発というのも子猫丸の出した答えであり、自分ができると思ったことだと考えたら、確かに僕も梶くんが言うように解釈一致でした。子猫丸だったらやってくれるよね、という、なるべくしてなった、信頼感のある言葉だなと思いました。
――聖水を噴射して魍魎(コールタール)を退治するアナログな手段もあれば、アプリを活用していくという近代的でデジタルな発想もあって。祓魔師ってハイブリッドですよね。
今までのすべての経験値が活きてくるんじゃないかなって思います。子猫丸は怖がりながらも、ここまでなんとか食らいついてきましたから。だって周りを見渡せば、誰も彼もが異常な力を持っている人ばっかりじゃないですか!(笑)
可哀想なくらいですよね。
志摩さんだって隠してたし!
夜魔徳(ヤマンタカ)くんを!
子猫丸って、実に平均的な能力の人なんだと思うんです。でも、だからこそ天才たちとはまた違った角度からアプローチできる、サポートをしていける可能性を秘めているんだろうなと。その発想力も立派な実力だと思うので、それらを存分に発揮しながら、ここから先、ますます戦力になっていってもらいたいなと思っています。
――雪ノ果篇』1~2話はバトルやシリアスな場面よりも日常的かつ学生らしい場面が多いエピソードです。そうした日常での彼らを演じる際に意識しているトーンや間などありますか?
逆に意識しないようにはしています。特に燐をやっているときは。雪男の方が意識するところはある気がします。
日常があっての戦闘シーンです。一人の学生として、一人の若者として、楽しく過ごしているときと、戦う時のピリッとした緊張感、そのメリハリは大事にしていますね。
――子猫丸の声で日常感が滲むときはありますよね。
そう思っていただけていると嬉しいです。癒し系、そしてリアクション係でありツッコミ役でもあるのが彼だと思うので(笑)。僕自身も楽しみながら演じさせていただいています。バトルやシリアスな描写が多い本作品において、「彼らだって等身大の学生なんですよ」というところを、視聴者の皆さんに、短い日常シーンの中で伝える役割を、子猫さんの空気感が担ってくれている気もします。
――そんな2話Bパートは燐としえみが一緒に任務に臨むエピソードです。しえみに恋心を抱く燐の複雑な心境の表現も出てきます。まっすぐに少年らしさでいっぱいだった燐の思春期ならではの表情が出たこのパートでの燐を演じる際に意識したこと、またアフレコの思い出をお聞かせください。
めっちゃ難しかったです。最初から僕としては青春感を出してやったつもりだったんです。でも、ディレクションで言われたことをそのままいうと「手練れ感がある」と。カッコいい言葉をどれだけカッコよく言わないかというか、誠心誠意等身大の燐という一人の男の子でいられるかが一番難しかった気がします。リテイクを重ねるごとに、あまり考えすぎないようにやろうとはしました。
――リテイクを重ね、ということはそれだけ苦戦されたのですね。
このシーンについては、4回は録った気がします。しえみ役の花澤香菜ちゃんにも「すみません!」って言いながら、付き合ってもらいました。
――しえみへの気持ちを出すようになった燐をご覧になって、どんな印象がありますか?
ようやく言えてよかったねとは思ったものの、大いなる勘違いみたいな、すれ違いのようなものもありました。そこが面白いんですけれども。しえみはしえみで可愛い部分というか。ただ燐はずっと雪男のことを想っているんだなって思いました。しえみと話している途中も雪男の顔が浮かんでくる。脳裏に浮かんでくるってことは雪男のことが大切なんだなと思いました。
――梶さんはそんな燐の様子をご覧になっていかがでしたか?
「微笑ましいなぁ、可愛らしいなぁ」と思いながら見守っていました(笑)。いかに鈍感な燐とはいえ、少しずつしえみに対する想いに気づき始めていましたからね。ただ…同時に、雪男の様子がおかしくなっていってしまって、「そんな気持ちを抱えている場合じゃない」と苦しむわけです。双子の兄弟ですが、あらゆる面で違う、真逆の二人。思春期や学生ならではの要素として“恋愛”という感情や経験は欠かせないものだと思うので、辛い状況ではありますけれど、どうか、そういった“青春”もちゃんと謳歌してもらいたいなという想いがありますね。子猫丸にも、「写経愛好会の部長」というワードが、学園祭のダンスパーティのエピソードで登場していましたからね。どういう人で、どのくらいの距離感なのか、ずっと気になっています(笑)。
結構モテるんですよね。子猫丸は。
今のままでも十分素敵ですけど、いずれコンタクトにして、髪を伸ばしたりすることがあれば、ぜひそんな姿も見てみたいです。
だいぶデザインが変わるね!?
でも、勝呂だって髪型を変えたでしょ?
確かに。
子猫丸だって大猫丸になることが……
いやいやいや(笑)。
(笑)。二人はもちろん、ほかのキャラクターたちにも、いろんな意味での“青春”を過ごしてもらいたいなって、心から思います。
13年を振り返って
――アニメ第1作目が放送された13年前から、『青エク』でもご共演されるなかで、作品開始当時を振り返って、お互いとの思い出として心に浮かぶことがあればお聞かせください。
もともと原作マンガから注目していた作品だったので、いざアニメ化が発表され、岡本くんが燐を演じると聞いて「なるほど、ぴったりだな!」と感じましたね。ほぼ同じ年齢で、キャリアも同じくらいの岡本くんが、周りが先輩ばかりの中で主演をやることを「すごいな…!」と思いましたし、当然、同時に「悔しい…!」という思いもありました。
僕からしたら、当時、梶くんは既にいっぱい主役をやっているイメージがあって、子猫丸をやることが意外でした。出会った瞬間から梶くんの叫び声が好きだったんです。今も好きですけど、当時から一級品の叫び声をする役者さんというイメージがあって、同期の中でこれだけ叫べる人っていない気がするというのを漠然と思っていたんです。そんな方が京都弁で、さらに子猫丸のようなキャラクターは制約の多い芝居を求められて。京都弁を話す時点で、僕なら芝居ができなくなっていただろうなって思います。当時、関西弁で話す役をやっていたんですけど、芝居を成立させるというよりも、方言を違和感なく話さなきゃっていうところで手一杯でした。でも、梶くんは中井さん・遊佐さんとの3人組を京都弁で務めるっていうことに本当にびっくりしました。
たしかに、バランスがすごいよね。関西弁堪能な先輩と京都弁堪能な先輩に挟まれて、僕だけ全くの標準語なわけだから…(笑)。
僕は若さん(音響監督・若林和弘)が「梶くんなら出来る」と思って抜擢されたと聞いていたので、そこまで信頼されているのってすごいなと思いました。1話1話収録を聞いていて、標準語圏の人が京都弁を成立させていくことに驚いたのと同時に、脅威に思っていました。同期のなかでこれが出来るなんて……という焦燥感を感じて、僕も頑張らなきゃって思っていました。
いやいや、逆!逆!岡本くんすごいなって、ずっと思ってたよ。僕は、とにかく必死だったから。若林さんから「こういう(子猫丸)京都弁の役をやってもらおうと思うんだけど、できるか?」という連絡をいただいて…やったことなんてないし、どうなるかなんてわからないけど、二つ返事で「やれます!できます!」って即答して(笑)。だって、そうでもしないと本当にチャンスなんて巡ってこないから。
それが意外だった。梶くんが!?って。
ずっとそんな感じだったよ。「なんでもやれます!やらせてください!やってやれないことはない!」っていうスタンスでいるしかなかった。まぁ、いまだに京都弁には苦戦してるけど……(笑)。最初のシリーズでは、オリジナルエピソードでの当番回があって、とにかくそれが大変だった記憶があります。「なんとか京都弁を乗り越えた!」なんて思っていたら、数年後、ありがたいことに『京都不浄王篇』がアニメ化決定になって。その頃には自分の仕事状況も、最初のシリーズの時とは変わっていたので、時間的にも精神的にも「大丈夫かな?」なんて不安に思っていましたが、またもや「なんとかしてやる!」根性で、なんとかしました(笑)。……と思いきや、さらに時が経ち、今度は『島根啓明結社篇』アニメ化! これまた、ありがたいことに冒頭から未だかつてないくらいしゃべっていて、「ここにきて、こんなチャンス巡ってくるのかい!」と思いましたけど、おなじみの「やってやれないことはない!」根性で必死に食らいついて今に至る、という感じです(笑)。使う言葉が違う時点で慣れることは一生ないと思うのですが、その都度その都度ベストを出す、という気持ちで頑張ってきましたね。でも、何よりもまず、これだけ長い作品に関わらせていただけること自体が幸せです。本当にありがたい。岡本くんは特に、そんな作品で主役を担当しているわけだから、僕とはまた違った想いと覚悟が必要だったと思うんですよ。そんな中、本当に立派にその責務を果たしていると思います。
プレッシャーが半端ないです。最初の方は福山さんからのプレッシャーも強く感じていて、若さんと福山さん、ダブルでプレッシャーがありました。
「頼むぞ」みたいな?
「頼むぞ」と同時に台本の読解の部分で「もっとこうした方がいい」って福山さんから毎話、毎話言われていました。(藤原)啓治さんとも話したりしていくなかで「頑張らなきゃ!」と思うこともたくさんありました。だから現場でもめちゃめちゃ緊張しながら、でしたが、若林さんという音響監督はそこをちゃんと締めるタイプの方だと思いますし、メリハリがちゃんとある方だと思うので。だからこそ当時は座長としてのコミュニケーションが難しいなと思っていたんです。ラジオがあったからなんとかなった気がしていて。そのときのラジオで一番話がしやすかったのが梶くんでした。めちゃめちゃ来てくれて、ありがたかったです。
楽しかったよね。僕の中でのラジオの印象は…自力では方言がさっぱりわからないので、「キャラクターで告知を読むコーナー」なのに、なぜか急に「標準語しかしゃべれなくなってしまった子猫丸」という、謎の設定を盛り込んでいただいたことが強烈に頭に残っていて(笑)。
スタジオ内での会話って、梶くんのツッコミのおかげで話が回っている気がしていて、特に福山さんに対して強く出られることがすごいなって思ってました。番組中、福山さんがダジャレを言うんです。それに対して梶くんはちゃんと的確にツッコミを入れられるので、それがすごいなって思っていました。
いや、だって…ツッコミを欲しているなと感じたから(笑)。
福山さんは「気持ちいい」って言ってました。「いいよ、梶くん。そうだ。その調子だ」ってずっと言っていて(笑)。
――梶さんからご覧になって、座長として13年駆けてきている岡本さんに対してはどのような印象がありますか?
先ほど、岡本くんから「座長としてのコミュニケーションが難しかった」という話がありましたが、僕からすると、岡本くんは頭もいいし、誰ともうまくコミュニケーションを取れるイメージがあるので、むしろ頼もしいと言いますか、心強いと言いますか、岡本くんがいればなんとかなるかな、くらいに思っていましたけどね。
お互いにそう思っているんですね。そういえば、僕は梶くんの真似をしようとして失敗したことがあります。
え?なになに?(笑)
ラジオをやっていたときの梶くんの福山さんへの冷たいリアクションがすごくハマっていて、「なるほど。これ、俺もやってみよう」って思ってやってみたんですけど、スルーされてそのままトークは続いていったんです。「あれ?これ、俺は大失敗してるの⁉」というのがありました。
そういうボケだったんじゃないかな?(笑)
だって梶くんがそのツッコミをいれたとき、すごく面白かったんだよ。これは俺も!と思ったんですよ。その失敗以来、福山さんにはツッコミを入れないようにしています……。
そもそもボケているのは、楽しんでくださっているからこそだと思うよ?
でもガヤを録ってるときにボケるのはやめて欲しいです。
あははは(笑)。それこそ強めにツッコミをいれる権利があるじゃん!
難しいですね。『京都不浄王篇』はマジできつかった!
きつかった?(笑)
明陀(みょうだ)宗のガヤをお願いしますってときに、不意にいい声で「妙だな」って。
「なにがだ?」って言ってあげればいいんだよ。「お前は不浄だな」って。
それもあったのかー。僕にできることは下を向いて笑うだけでした(笑)。
ぜひキャラクターたちが生きていると思いながら見ていただきたいです
――ここから舞台は青森へ。アニメをご覧になっているみなさんに向けてのメッセージとして、おふたりが楽しみにしていることをお聞かせください。
『島根啓明結社篇』を経て、いよいよ登場人物たちの本質が見えてきました。そして、ようやく本当の意味で、仲間・友だちという関係性が出来上がったように感じています。そこに新しいキャラクターたちも加わり、これから彼らは、もっともっと大きな渦に巻き込まれていきます。それでも…その根っこにあるのは、やはり“人間としての気持ち”。ひとつのバトルファンタジーアニメとして楽しんでいただくのはもちろん、等身大の若者たちの心の機微に焦点を当てた“人間ドラマ”に胸打たれること間違いありませんので、どうぞ、毎週欠かさずにご覧いただけますと幸いです。よろしくお願いします!
『島根啓明結社篇』ではチームや仲間意識が芽生えてきて、さらにいろんなキャラクターの秘密が明らかになったのですが、ここからは奥村兄弟に焦点が当たって、ようやく二人が会話の出来る瞬間が訪れます。最初の方はコミカルなやりとりもあるので、そのあたりはみなさんニヤニヤしながら見ていただけたら嬉しいです。そしてここからはシュラの過去も明らかになりますが、そこで今回は青森弁が出てきます。方言監修にとても豪華な方が来てくださっていて、青エクはファンタジーではありますが、リアリティのある会話を意識しているような感覚もあります。この世界のどこかで本当に起きているように感じられる作品だと思いますので、ぜひキャラクターたちが生きていると思いながら見ていただきたいです。